2019年02月08日

メガソーラーの環境破壊 その2 

2017年8月11日にブログ記事「メガソーラーの環境破壊」を投稿したところ、いまだに毎日10件を超えるアクセスがあります。この問題についていかに皆様の関心が高いかを示していますね。

http://herons-egrets.sblo.jp/article/180626026.html

愛知県東浦町では地域住民の方々が、愛知県に対してメガソーラー業者への開発許可を取り消すよう求めていましたが、昨年11月、名古屋地裁は訴えを却下しました。業者は2万平方メートルの森林を伐採することになっています。

建設予定地(「東ヶ丘の環境を守る会 卯ノ里の里山を守る会」さんのホームページへのリンク)
https://unosato.wixsite.com/higashigaoka/place

愛知県ではいまだメガソーラーは環境アセスメントの対象外のため、野鳥を頂点とする生態系のことは全く議論の対象になっていません。残念なことです。

しかし大手メディアの中には環境破壊問題をほとんど考慮に入れず、再生可能エネルギーを礼賛するような記事を書くことがあります。
(例)
中日新聞社説 2017年8月19日「乗り遅れてしまうのか 温暖化とエネルギー」
中日新聞社説2017.8.19.jpg

中日新聞社説 2018年1月9日「もはや環境途上国 ニッポンの大問題」
参考ウェブサイト http://editorial.x-winz.net/ed-83968

この社説の書き手は再生可能エネルギーを設置する際の環境へのダメージをほとんど考えていないようです。(※注1)

環境へのダメージが無いならば再生可能エネルギーは理想的な発電方法でしょう。しかし現実は真逆です。メガソーラーによってチュウヒをはじめとする希少鳥類の生息地は破壊され、地元の人々が愛する里山環境がどんどん破壊されています。環境保護を考慮しない再生可能エネルギー礼賛は、人間本位の勝手な考えと言わざるを得ません。

この再生可能エネルギー礼賛は大手メディアだけでなく、世論に大きな影響を与える有名人の発言にも見られます。これらの人々に共通して言えることは、
 @再生可能エネルギーが自然環境に与えるダメージをほとんど考慮していない
 A再生可能エネルギーの高コストをほとんど言及しない
 B夢のようなことを語って現実問題から乖離している
ということです。

なぜこのようなことを言うのか、推定される理由として、
 @自然保護にあまり関心がない?
 A再生可能エネルギーが高コストなことにあまり関心がない? (有名人はおおむね裕福なので電気料金を気にする必要がない? 簡単にコストを下げられると思っている?)
 Bエネルギー問題に関して理想を語ることがメシのタネになる?

言うまでもなく自然保護は経済活動と同程度に重要です。人の生活は自然環境の上に立脚して成り立っているからです。
また再生可能エネルギーは火力発電等の通常の発電方法に比べて非常に高コストです。 (※注2 )
世の中の多くの人は電気料金を気にしないで済むような裕福な人ではありません。製造業は電気料金が1%上がっただけで大きな打撃を受けます。
また高コスト問題は、現状では技術的にすぐ解決できる問題ではありません。
理想を語ることは悪いことでないですが、それがエネルギー問題となると話は別です。エネルギー問題は国家安全保障や国民経済の観点から論じられるべきであって、形而上学のような話ではないからです。

大手メディアや有名人による数字の裏付けによる論証がほとんど無い再生可能エネルギー礼賛の主張に惑わされることなく、環境保護の視点とコストの視点から、数字に基づいて良し悪しを判断する必要があります。

最後にメガソーラーがいかに広大な面積の自然環境を破壊するのか再び数字で示したいと思います。

2019年2月8日現在、日本で稼働中の原発は合わせて9基です。
(原発をメガソーラーとの比較対照にしますが、ここで原発の是非を語る意図は全くありません。いかにメガソーラーが広大な設置面積を必要とするのかを比較するためです。)

これら9基の原発の出力は合わせて、930万kw です。
ではこの9基の原発が1年間に発電する電力量と同じだけの電力量をメガソーラーで発電すると仮定した場合、どれだけのソーラーパネル設置面積が必要だと思いますか?

答えは、1519km2    東京都の面積の約70% です。(計算根拠は一番下にあります。)

メガソーラーというのはこれほどまでに場所を必要とするのです。
日本全国で環境問題が引き起こされるのも無理はありません。

メガソーラーによる環境破壊をこれ以上招かないようにするためにも、再生可能エネルギーを礼賛する方々の根拠があいまいな主張を鵜のみにせず、根拠の確かな数字で再生可能エネルギーの是非を判断することが大切です。

そしてメガソーラー設置の際には、環境アセスメントを厳密に適用することを条例で制定することが何よりも望まれます。”環境に最大限配慮し、地元住民の同意を得ること”を条例の文面に入れることが望ましいと思います。



※注1
中日新聞社説 2017年8月19日「乗り遅れてしまうのか 温暖化とエネルギー」に関するツッコミです。
(数字は全て2017年8月当時のもの。太字が社説からの引用部分)
社説に「一昨年世界では再生可能エネルギーの新規発電設備容量が、化石燃料プラス原子力を越え、投資額も史上最高を記録」とあるが、世界全体の投資額の6割強を占める中国、アメリカ、日本の投資はいずれも補助金に頼った上での投資であり、補助金制度が打ち切られたとき、投資は続かない。なぜなら再生可能エネルギーは、現状では補助金に頼らないと成り立たない高コストの発電方法のためである。

社説に「(再生可能エネルギーの)発電量に占める割合も23.7%と、四割に及ぶ石炭に続く第二の電源に浮上」とあるが、太陽光、風力、バイオマス等の発電と、通常のダムによる水力発電とは分けて考えるべきである。さもないと23.7%という数字はあたかも太陽光や風力発電が四割に及んだかのように誤解を与えかねない。この23.7%のうち、16.6%は従来からある水力発電等による発電である。23.7%から水力発電の16.6%を除いた太陽光、風力等による再生可能エネルギーによる発電量は7.1%となり一割にも及ばない。

社説に「ドバイやチリでは太陽光が1キロワットあたり三円台前半、欧州の洋上風力が六円前後で取引されている」とあるが、ドバイやチリの太陽光発電は日本とは比較にならないほど良い日照条件であるため、このコストが可能である。しかしこの日照条件は日本では全く当てはまらない。洋上風力についても、欧州の北西地域は風況が優れており、日本とは比較にならない。この社説の表現では日本でも六円前後で実現できるのでは、と誤解を与えかねない。

社説に「温暖化への危機感をてこに、再エネ電力市場への投資はさらに加速する見通しだ」とあるが、上記のドバイ、チリ、欧州の北西地域のように再生可能エネルギー発電に向く地域の場合は、その投資に見合ったコストを回収できるため投資は進むだろう。しかし日本はそうではない。補助金による助成が打ち切られたとき、市場原理によって再エネ電力市場は縮小するだろう。



※注2
ソーラー発電、風力発電などの再生可能エネルギーは、あまりにも高コストなので国からの補助金無しでは成り立ちません。国は再生可能エネルギー発電業者に補助金を出し(固定価格買い取り制度 FIT等)、再生可能エネルギー発電業者は発電した電気を大手電力会社に売電し、大手電力会社は「再エネ発電促進賦課金」の名目で全ての電気利用者から売電と買電の差額を徴収しています。つまりメガソーラー業者の利益は我々一般の国民から広く徴収されているのです。再エネ発電促進賦課金は毎年値上がりします。なぜならメガソーラー発電や風力発電がどんどん設置されているからです。2019年は、1kwh当たり、2.9円です。ちなみにひと月の電気使用量384kwhとして、支払い料金が11,105円とすると、そのうちの1,113円が再エネ発電促進賦課金です。電気料金の約一割はメガソーラー業者等の利益に使われています。一度、ご家庭の電気料金支払い明細書で確認してみて下さい。繰り返しますが、メガソーラーが増えれば増えるほど電気料金は確実に値上がりします。
IMG_3898.jpg




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計算根拠:
2019年2月8日時点で稼働中の原発9基のトータル出力
 930万kw

これら9基の年間発電量:

  930万kw x 24h x 365日 =8,146,800万kwh

ソーラーパネルの設備効率を12%とする。(木曽崎メガソーラーと同レベル)

ソーラーパネルで年間8,146,800万kwhを発電するために必要な出力:
  8,146,800万kwh÷(設備効率0.12 x 24h x 365日)= 7750万kw

環境省の資料「太陽光発電事業の環境保全対策に関する自治体の取組事例集 平成30年6月」によると、
ソーラー発電規模10MW(1万kw)当たりの敷地面積は平均約19.6ha。

7750万kwを発電するために必要なソーラーパネル面積:
  7750 x 19.6ha =151900ha (1519km2)

東京都の面積
  2188km2

7750万kwを発電するために必要なソーラーパネル面積が東京都の面積に占める割合:
  1519km2 ÷ 2188km2 x 100 = 約 70%



























posted by Ted at 15:49| メガソーラー

2019年01月31日

英語の野鳥図鑑の読み方 3回目

英語の野鳥図鑑の読み方 3回目です。

今回参考にする図鑑は、「National Geographic Field Guide to the Birds of North America, Second Edition」です。Second Edition、つまり第2版です。現在は2017年発行の第7版まで出ています。
旧版はAmazonで安価に入手可能なことが多いです。

(下の表紙は第3版)
無題.png

この図鑑には北米大陸に生息する野鳥がほぼ全て載っています。識別だけでなく行動や習性が比較的細かく書かれているので参考になります。

英語野鳥図鑑を読むには3つのコツがあります。

1.省略に慣れる
2.部位と色の表現に慣れる
3.専門用語に慣れる

今回は、「アマサギ」を例にとって説明します。

(以下原文は、「National Geographic Field Guide to the Birds of North America, Second Edition」52ページから引用)

<原文@>
Small, stocky white heron with large, rounded head. Breeding adult is adorned by orange-buff plumes on crown, back, and foreneck.

<意訳>
大きく丸みを帯びた頭の、小型でずんぐりとした白いサギ。繁殖期の成鳥には頭頂、背中、および首の前部に飴色の飾り羽がある。

<単語>
small:小型の
stocky:ずんぐりとした
heron: サギ類
large:大きい
rounded:丸い、丸みを帯びた
head:頭、頭部
breeding:繁殖の、繁殖期の
adult:成鳥
adorn:飾る
orange-buff:飴色
plumes:飾り羽
crown:頭頂
back:背中
foreneck:首の前部

<説明>
最初の文で省略されている主語は、Cattle Egret(アマサギ)です。この主語を補うと原文は次のようになります。

The Cattle Egret is a small, stocky white heron with large, rounded head.
アマサギは、大きく丸みを帯びた頭の、小型でずんぐりとした白いサギである。

次の文。
Breeding adult is adorned by orange-buff plumes on crown, back, and foreneck.

adorn は飾る、という意味です。ここでは受け身なので、飾られる、という意味です。
直訳すると、「繁殖期の成鳥は、頭頂、背中、首の前部が飴色の飾り羽で飾られる」となります。
すなわち「繁殖期の成鳥には頭頂、背中、および首の前部に飴色の飾り羽がある。」


<原文A>
At height of breeding season, bill is red-orange, lores purplish, legs dusky-red. Nonbreeding adult has shorter, whitish plumes, yellow bill, yellowish legs.

<意訳>
繁殖期の最盛期ではクチバシは赤みを帯びた橙色で、目先は紫色っぽく、脚は暗い赤色。非繁殖期では飾り羽は短くて白っぽく、クチバシは黄色、脚は黄色っぽい。

<単語>
height:高さ、絶頂、最盛
breeding season:繁殖期
bill:クチバシ
red-orange:赤みを帯びた橙色
lore:目先
purplish:紫がかった
dusky-red:黒っぽい赤、暗い赤
non-breeding :非繁殖期
shorter:より短い
whitish:白っぽい
yellowish:黄色っぽい
leg:脚

<説明>
At height of breeding seasonは「繁殖期の最盛期」と訳しましたが要するに婚姻期のことです。
この文ではbe動詞が省略されています。be動詞を補うと、
At height of breeding season, bill is red-orange, lores are purplish, legs are dusky-red.
となります

次の文。
Non-breeding adult has shorter, whitish plumes, yellow bill, yellowish legs.
この文は省略がなく分かりやすいですね。
(直訳)非繁殖期の成鳥は短くて白い飾り羽と黄色いクチバシと黄色っぽい脚を持つ。
(分かりやすく訳すと⇒)非繁殖期の成鳥では、飾り羽は短くて白っぽく、クチバシは黄色、脚は黄色っぽい。



では最後に原文Bです。
<原文B>
Often seen among livestock in pastures and fields, feeding on insects stirred up by hooves or tractors; also picks insects off animals’ backs. In flight, resembles Snowy Egret but is smaller; bill and legs shorter; wingbeats faster.

<意訳>
牧草地や田畑では、よく家畜に混じっているのが見られ、蹄(ひづめ)やトラクターによってかきたてられた虫を採餌する。また動物の背中に付いた虫もついばむ。飛翔時はユキコサギに似ているが小さく、クチバシと脚は短く、羽ばたきは早い。

<単語>
often:よく
among:〜の間で、
livestock:家畜
pasture :牧草地
field:田畑
insect:虫
stir up:かきたてる
hooves:蹄(ひづめ)
pick off:つまみとる、ついばむ
in flight:飛翔時
resemble:〜に似る
Snowy Egret:ユキコサギ(北米に生息するコサギによく似たサギ)
wingbeats:羽ばたき

<説明>
Often seen among livestock in pastures and fields,
この文に主語を補うと次の通りです。
The Cattle Egret is often seen among livestock in pastures and fields,
アマサギは牧草地や田畑では、よく家畜に混じっているのが見られ、

among livestock は直訳すると「家畜の間で」なので「家畜に混じって」と訳すとわかりやすいです。
is seen はseeの受け身で、見られる、という意味です。

次の文。
feeding on insects stirred up by hooves or tractors;
この文をわかりやすくするために主語と関係代名詞を補うと次の文になります。
The Cattle Egret feeds on insects which are stirred up by hooves or tractors;
アマサギは、蹄(ひづめ)やトラクターによってかきたてられた虫を採餌する。

次の文。
In flight, resembles Snowy Egret but is smaller; bill and legs shorter; wingbeats faster.
飛翔時はユキコサギに似ているが小さく、クチバシと脚は短く、羽ばたきは早い。

この文も省略された主語とbe動詞を補うと次の文になります。
In flight, the Cattle Egret resembles Snowy Egret but the Cattle Egret is smaller; bill and legs are shorter; wingbeats are faster.
アマサギは飛翔時はユキコサギに似ているが小さく、クチバシと脚は短く、羽ばたきは早い。

このように省略されている単語に気づけば分かりやすい文になります。

今回は以上です。

近日中に第4回を投稿する予定です。どうぞお楽しみに。
愛知県支部会員に限っては、英語辞典の読み方の個人的なご質問もお受けいたします。

※orange-buff を当初「亜麻色」と訳していましたが支部役員のMさんからご指摘いただき、
「飴色」と訂正しました。日本語も難しいですね。(笑)。

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日本野鳥の会愛知県支部に入会しましょう! http://www.wbsj-aichi.org/recruite.html

案内人のサポーター、サギコロニー調査、コアジサシ保護活動、子供向けワークショップの運営などなど、
人生が充実すること間違いなしです。⇒http://herons-egrets.sblo.jp/article/185278841.html
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posted by Ted at 10:36| Comment(0) | 英語の鳥図鑑

2019年01月25日

「フィールドガイド 江戸時代の鳥」展示

名古屋市博物館で野鳥に関するユニークな展示を開催中です。

「フィールドガイド 江戸時代の鳥」と題して江戸時代の鳥についての史料の展示です。

名古屋市博物館学芸員で愛知県支部会員でもあるSさんから開催要項が届きましたので下記に添付します。
この機会にぜひ名古屋市博物館に行きましょう!


「フィールドガイド 江戸時代の鳥」

バードウォッチング―― 野の鳥を観察するという趣味が日本でさかんになったのは1970年代といわれています。それまで野鳥を見る習慣がなかったかといえば、そうではありません。古くから人々は生活の中で鳥の存在を認識しており記録に残しています。江戸時代に編纂された産物帳はその土地にどのような鳥がいたのか目録にまとめており、名所図会や随筆などでは日々見る鳥に対する記述をいくつも見ることができます。今回は、史料というフィールドの中で鳥たちとの出会いを楽しんでみましょう。

会期
平成31年1月23日(水)〜3月24日(日)
※資料保存のため、途中場面替えをする資料があります。
 前期:1月23日(水)〜2月24日(日)
 後期:2月27日(水)〜3月24日(日)


会場
名古屋市博物館2階常設展示室内 テーマ10

料金
 常設展示室観覧券 一般300円 高大生200円 中学生以下無料
 市内65歳以上の方100円(要敬老手帳等)
 ※特別展開催時は、特別展観覧料でもご観覧いただけます。
江戸時代の鳥.jpg
posted by Ted at 18:55| Comment(0) | お知らせ