2016年09月10日

緑区伝治山サギコロニー取材記事の補足

先日、名古屋市緑区伝治山のサギコロニーについて中日新聞から電話取材があり、いくつかの質問にお答えしたところ記事になって9月6日紙面に載りました。(インターネットで「中日新聞」・「サギ」・「緑区」 で検索すると出てきます。) 取材の目的は近隣住民から糞や臭いの苦情があるが、どう考えるか意見を聞きたいというものでした。そこで以下の通りお答えしました。
・伝治山コロニーは我々の把握している限り県内では蟹江・弥富ICコロニー、稲沢矢合町コロニーに次ぐ県下最大級のサギコロニーである。
・アオサギ、ダイサギ、チュウサギ、コサギ、アマサギ、ゴイサギの6種が繁殖する。
・準絶滅危惧種のチュウサギがほぼ半数を占める貴重な繁殖地である。
・樹林の伐採をすると近隣の樹林地に移動して新たな軋轢を生む可能性が非常に高い
・カリフォルニア州では樹林地ごとゴイサギコロニーを2km離れた場所に移設してデコイとスピーカーによる誘導を試みて成功した事例がある。
・もし伝治山コロニーを伐採するならば、行政が主体となってサギの新たな営巣場所を確保し、そこにサギを誘導するよう試みることが必要であろう。

取材の内容は以上ですが、若干の補足をしておきます。
まずアメリカのゴイサギコロニー移設の話はウェブサイトに論文として掲載されています。
http://www.jstor.org/stable/1522533?seq=1#page_scan_tab_contents
要旨はざっと次の通りです。
「再開発中のロングビーチ港が海軍に利用されていた頃、500つがいものゴイサギが街路樹のガジュマルやオリーブの木にコロニーを形成していた。渡り鳥条約の条項に基づいた米国魚類野生生物局との協定により、ロングビーチ港当局はターミナルの工事に先立ってコロニーの移設をすることに同意した。1999年、50本の木が木枠で囲われて元の場所から約2km離れた場所にトレーラーで移設された。ゴイサギのデコイを木の中に設置してコロニーで録音したゴイサギの鳴き声を1日に2回流し、林への一般の立ち入りを制限した。営巣は成功し2000年には423巣から1128羽のヒナが誕生した。これだけ大きなコロニーの全数移設は前例がない。」( Stacey Crouch, Carol Paquette and David Vilas Waterbirds: The International Journal of Waterbird Biology Vol. 25, No. 4 (Dec., 2002), pp. 474-478 Abstractから抜粋して引用)

やはりアメリカはスケールが違います。コロニーの樹林ごとそっくり移設してしまうのですから。
日本の行政とはあまりにも違いますね。

伝治山の件については、行政は「私有地である以上、市の権限では対応できない」という前にまず現状を把握して伐採以外にどんな対策が出来るかも考えるべきだと思います。行政は現状をどの程度把握しているでしょうか。営巣開始時期は? 最大羽数とピーク時期は? どの方角からの帰巣が一番多いのか? 飛来数が多い時間帯は? 糞害を受ける家はどの範囲にあるのか? など把握すべきことは山ほどあります。把握すべきことを把握した上で市の権限でやれる範囲の方策を考え出すべきであると思います。

サギコロニー調査ウェブサイト http://herons-egrets.sakura.ne.jp/
日本野鳥の会愛知県支部ウェブサイト http://www.wbsj-aichi.org/ 








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2016年09月05日

調査結果 8月27日サギコロニー調査

 8月27日(土)今年最後となる、蟹江・弥富IC サギコロニー調査を実施しました。天候くもり。予想したほど暑くない一日でした。参加者は31名。下の写真は参加者のために今回準備したお菓子です。写真には写っていませんが、この他のペットボトルの麦茶とスポーツドリンクを用意しました。左上の饅頭は名古屋の銘菓「なごやん」です。
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今回は識別勉強会の前に8月22日に実施した、名古屋港ポートアイランド上陸調査結果の発表が支部長からありました。名古屋港ポートアイランドは名古屋港を浚渫した土砂を積み上げて出来た無人の島です。
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この無人島の利権をめぐって議論が交わされていますが、当会としてはこの場所をコアジサシなどの野鳥の保護地として活用できないか、そのための活動が出来ないかを模索中です。

今回はこのポートアイランドがシギやチドリ類などの渡り鳥の休息地になっているのではという期待を込めて環境省の船に乗船させてもらい調査を実施しました。ところが上陸してみるとそこは以前のように干潟状態ではなく乾燥した土地へと変遷しており、シギ・チドリの楽園ではありませんでした。浚渫した直後であれば干潟状態なのでしょうが時間が経過するにつれて乾燥していくのでしょう。
ということで期待外れの結果となりましたが、ポートアイランド調査は継続して続けていきたいと思います。

さて、サギ調査の話に戻ります。今回の識別勉強会では「群れの識別」。サギの識別法としては最も難しいサギ混群の識別です。アマサギの群れの中にチュウサギが混じっていたり、ダイサギ、アマサギ、コサギが混群になっていたり、単独でも難しいサギ識別ですが、群れ識別はサギ識別の集大成ともいえます。下の写真はその識別クイズのほんの一部ですが何種類のサギがいるかわかりますか。参加者の約1/4の方が正解しました。相当識別力がついてきたようです。
(答は一番下にあります。)
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今回も弥富IC班、蟹江IC班に分かれて、各調査ポイントで飛来するサギを識別しながらカウントしました。群れで一気に帰巣するサギが多数観察できたポイントや、まばらに帰巣するポイントなど調査ポイントによって状況は様々です。そして下のグラフは集計結果です。各種とも順調に巣立ちしたことがわかります。
(クリックで拡大)
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下のグラフは2012年から今シーズンまでの蟹江・弥富IC合計羽数の推移です。今年は昨年よりも約3割ほど羽数が減少しました。弥富IC北側樹林地の伐採が影響している可能性は否定できません。もしかすると他のコロニーに分散したのかもしれません。
(クリックで拡大)
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下の円グラフは蟹江・弥富ICのサギ種比率です。このグラフから、チュウサギがちょうど半分を占めていることが分かります。これまでの調査でもチュウサギは優占種でしたが、およそ4割程度だったためチュウサギの比率が増加傾向にあるようです。
(クリックで拡大)
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さて、今シーズンの調査課題とその結果を下記にまとめます。

課題@:弥富北側樹林地伐採の影響はあったのか?
結果:7月総数を昨年と比較すると約7%減。8月総数を昨年と比較すると約30%減。7月時点で減っているということは営巣数自体が減ったと考えられ、わずかではあるか影響があったと考えられる。

課題A:デコイによる誘導の効果はあったのか?
結果:効果不明。デコイを設置したループ内には入らなかったがその周辺には入ったため、これをデコイの効果と見るか、単に樹林地を伐採したために移動したのか検証することは今年1年の実験では困難である。とはいえデコイの視認性はかなり悪かったため、印象としてデコイ効果は薄かったように思える。デコイの設置方法は今後の課題である。

サギ調査の結果は以上です。

これからNEXCO中日本への今シーズン報告書をまとめる作業に入ります。発行されるのは来年3月頃の見込みですのでどうぞお楽しみに。

4月の事前調査から始まった今シーズンの調査ですが、あっという間に4回の調査は終了しました。無事終了できてほっと一息です。

今年は年明け早々に「サギコロニー調査」のウェブサイトが完成して一般公開しました。そしてウェブサイト上で「調査員募集」をしたところ思いのほかたくさんの方々に集まっていただいて感謝しております。来年度の新規調査員を募集するかどうかは未定ですが、募集する際にはこのブログかウェブサイト上に募集案内を公開しますので頻繁にご訪問下さい。

ではまた来シーズンもよろしくお願いします!!! 

(サギクイズの答え:チュウサギの群れにコサギとアマサギが混じっています。)
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