今回は識別勉強会の前に8月22日に実施した、名古屋港ポートアイランド上陸調査結果の発表が支部長からありました。名古屋港ポートアイランドは名古屋港を浚渫した土砂を積み上げて出来た無人の島です。

この無人島の利権をめぐって議論が交わされていますが、当会としてはこの場所をコアジサシなどの野鳥の保護地として活用できないか、そのための活動が出来ないかを模索中です。
今回はこのポートアイランドがシギやチドリ類などの渡り鳥の休息地になっているのではという期待を込めて環境省の船に乗船させてもらい調査を実施しました。ところが上陸してみるとそこは以前のように干潟状態ではなく乾燥した土地へと変遷しており、シギ・チドリの楽園ではありませんでした。浚渫した直後であれば干潟状態なのでしょうが時間が経過するにつれて乾燥していくのでしょう。
ということで期待外れの結果となりましたが、ポートアイランド調査は継続して続けていきたいと思います。
さて、サギ調査の話に戻ります。今回の識別勉強会では「群れの識別」。サギの識別法としては最も難しいサギ混群の識別です。アマサギの群れの中にチュウサギが混じっていたり、ダイサギ、アマサギ、コサギが混群になっていたり、単独でも難しいサギ識別ですが、群れ識別はサギ識別の集大成ともいえます。下の写真はその識別クイズのほんの一部ですが何種類のサギがいるかわかりますか。参加者の約1/4の方が正解しました。相当識別力がついてきたようです。
(答は一番下にあります。)

今回も弥富IC班、蟹江IC班に分かれて、各調査ポイントで飛来するサギを識別しながらカウントしました。群れで一気に帰巣するサギが多数観察できたポイントや、まばらに帰巣するポイントなど調査ポイントによって状況は様々です。そして下のグラフは集計結果です。各種とも順調に巣立ちしたことがわかります。
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下のグラフは2012年から今シーズンまでの蟹江・弥富IC合計羽数の推移です。今年は昨年よりも約3割ほど羽数が減少しました。弥富IC北側樹林地の伐採が影響している可能性は否定できません。もしかすると他のコロニーに分散したのかもしれません。
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下の円グラフは蟹江・弥富ICのサギ種比率です。このグラフから、チュウサギがちょうど半分を占めていることが分かります。これまでの調査でもチュウサギは優占種でしたが、およそ4割程度だったためチュウサギの比率が増加傾向にあるようです。
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さて、今シーズンの調査課題とその結果を下記にまとめます。
課題@:弥富北側樹林地伐採の影響はあったのか?
結果:7月総数を昨年と比較すると約7%減。8月総数を昨年と比較すると約30%減。7月時点で減っているということは営巣数自体が減ったと考えられ、わずかではあるか影響があったと考えられる。
課題A:デコイによる誘導の効果はあったのか?
結果:効果不明。デコイを設置したループ内には入らなかったがその周辺には入ったため、これをデコイの効果と見るか、単に樹林地を伐採したために移動したのか検証することは今年1年の実験では困難である。とはいえデコイの視認性はかなり悪かったため、印象としてデコイ効果は薄かったように思える。デコイの設置方法は今後の課題である。
サギ調査の結果は以上です。
これからNEXCO中日本への今シーズン報告書をまとめる作業に入ります。発行されるのは来年3月頃の見込みですのでどうぞお楽しみに。
4月の事前調査から始まった今シーズンの調査ですが、あっという間に4回の調査は終了しました。無事終了できてほっと一息です。
今年は年明け早々に「サギコロニー調査」のウェブサイトが完成して一般公開しました。そしてウェブサイト上で「調査員募集」をしたところ思いのほかたくさんの方々に集まっていただいて感謝しております。来年度の新規調査員を募集するかどうかは未定ですが、募集する際にはこのブログかウェブサイト上に募集案内を公開しますので頻繁にご訪問下さい。
ではまた来シーズンもよろしくお願いします!!!
(サギクイズの答え:チュウサギの群れにコサギとアマサギが混じっています。)
