2016年11月16日

新潟県五泉市のアオサギコロニー伐採

毎日新聞11月12日地方版に新潟県五泉市の「アオサギ フン害対策 粟島公園の松伐採」という記事が載っていることを愛知県支部の役員から連絡を受けました。
新潟県五泉市の粟島公園というところにアオサギが営巣して近隣住民から糞や臭いの苦情があったため、市は対策として公園内と隣接する河川の松を伐採する、というものでした。

そこで詳細を調べてみました。

五泉市は新潟市の南に位置しており、北部は市街地となっています。今回問題となったアオサギの営巣地はそんな市街地にあります。

五泉市役所の担当者の方に電話で話を伺ったところ、コロニーはアオサギとゴイサギで形成され、平成26年からあるそうです。今年平成28年は地上からの観察では約50〜60巣が観察されました。巣の数を60巣と仮定した場合、推定個体数は、雄親60+雌親60+雛が各巣3羽として、60+60+(60x3)=300羽程度、かと思われます。かなりの数のコロニーです。
近隣住民から苦情があり、市として対策に乗り出したとのこと。
市はアカマツの高さを低くするように伐採してアオサギが営巣しないような対策を実施中です。

国土地理院ホームーページの航空写真で昔の粟島公園周辺がどんなふうだったか調べてみました。
というのは愛知県名古屋市緑区伝治山コロニーのように、サギコロニーがもともとあって、回りが宅地化され、最後にサギコロニーが住宅地に残ったのかどうか知りたかったからです。

判明したことは、もともと粟島公園周辺には松の林は無かったということでした。
どうやらもともと田んぼだったところに公園を作り、そこに林を作ったところ平成26年になってアオサギがやって来た、という話のようです。
ということはここのアオサギたちはおそらく他の場所で営巣していたがここに来ざるを得なかった、ということが考えられます。つまり他の場所がなんらかの原因で営巣できなくなったということです。
なんらかの原因とは、@コロニーの個体数が許容数を越えてしまった Aコロニーの林が伐採されてしまった、などが考えられます。(あるいは単にこの場所が気に入った、ということもありえます。)

いずれの要因であれ、もしこの場所を追い出されたとすると他の場所でコロニーを形成することは間違いありません。するとその場所がまた住宅に隣接する場所だった場合、同じ問題が起こりえます。

五泉市の例に限らず、他県でのサギコロニーと近隣住民との軋轢も含めていうならば、人間側がサギの立場に立って考えてやる余裕が必要でしょう。でないといつまでたっても問題は解決しません。

アオサギにとっては集団繁殖できる林が必要です。人間にとっては糞や臭いに悩まされない居住環境が必要です。ではアオサギと人間が共存できる関係になるためにはどうすればよいかというと、アオサギのコロニーが人間に影響を及ぼさないところに形成される環境を人間が整えてやればよいのです。そしてその後にサギのデコイで適切に誘導すればアオサギはその場所にやってくるかもしれません。(ただし現時点では日本での実施例は当会では把握していません。)(ブログ09/10参照)

参考までに我々日本野鳥の会愛知県支部があるサギコロニーでコロニー移動を試みたときに使用したアオサギデコイの写真を添付します。アメリカから輸入したシラサギのデコイを塗装したものです。
M1850002.jpg

なぜサギたちにそこまでしてやらねばいけないのか、と思う人も多数いるでしょう。もともとサギのコロニーとなる林を伐採して宅地化してきた人間にその責任はある、というのがその答えです。彼らの住処を奪ったのは人間なのでその安住の地を提供してやるのは人間の責任なのです。これは五泉市の例に限らず、他県の例や、あるいはサギコロニーに限らず、コアジサシや他の絶滅危惧種についてもいえることです。


サギと人の共存、野鳥と人との共存のために、行政が主体となってぜひ実現してほしいものです。

日本野鳥の会愛知県支部HP http://www.wbsj-aichi.org/
サギコロニーHP http://herons-egrets.sakura.ne.jp/












posted by Ted at 21:28| Comment(0) | サギコロニー調査
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