届いた箱をあけるとイメージしていたデコイとはまるで違って、すごく精密な作品でした。
明らかに職人さんによる手作り品です。

くちばしの先端が折れていますので、ここを修理します。
先端の薄い部分が欠けているので、普通にパテを盛っただけではすぐに取れてしまいます。
修理にはテクニックが必要です。

よく見ると尾羽の先端も折れていました。これはモデラーとして黙って見過ごす訳にはいきませんね。(笑)
ここも修理することにしました。

まず、くちばしの先端をヤスリで削ってたいらにします。

次に、たいらにしたクチバシの先端にドリルで直径1ミリの穴をあけます。補強の鉄芯を入れるためです。
ドリルをチャックしているピンバイスはかれこれ30年以上使っている愛用品です。

穴をあけたら、その穴に鉄芯を入れて瞬間接着剤で固定します。鉄芯はクリップをカットして作りました。

次にくちばしの先端となる材料をプラモデルのランナーから切り出して、同様にドリルで穴を開けます。

そしたら次は穴を開けたクチバシの先端材を、クチバシに差し込んだ鉄心に差し込み、瞬間接着剤で固定します。鉄心を入れることで強度が各段にアップします。またプラモデルの端材はポリスチレンで出来ているので、デコイの母材よりも強度があります。

この状態では、差し込んだクチバシ先端材ともともとのクチバシとの間に段差が出来ているので、エポキシパテを使って段差を埋めます。色の違う2種類の材料を混ぜ合わせると30分くらいで固まり始めて2〜3時間で硬化します。

尾羽にもパテを盛ってみました。

そして、一晩おいて、パテが完全に硬化するのを待ちます。
で、翌日の朝から作業開始! クチバシの形をカッターナイフとヤスリで整えていきます。
この作業がデコイ修理の核心部分であり、完成品の出来栄えを左右します。

最終調整として、前後左右のバランスを見ながらペーパーで形を慎重に整えていきます。

ひたすら削ること約4時間、ようやくクチバシの形が整い、先端は「トキントキン (名古屋弁)」になりました。(笑)。
シャープという意味です。

次は、尾羽です。尾羽もクチバシ同様に、カッターナイフとヤスリで形を整えていきます。

最後にアクリル溶剤系塗料「Mr.カラー」で色を塗って完成です。
これなら展示会に出展しても全く問題ないレベルでしょう。

尾羽部分

ツイッターコアジサシ&コアジサシ三等陸曹と記念写真。

これで、このコアジサシデコイを展示会で展示できるようになりました。
何の展示会かは現時点で言えませんが、後日、ホームページでも紹介させていただく予定です。
どうぞお楽しみに!
日本野鳥の会愛知県支部
副支部長 野澤徹也
<参考>
参考までに、過去にデコイ製作関連で書いたブログ記事のリンクを貼っておきます。
興味あったら御笑覧ください。
シャア専用デコイ
紅の豚
ウルトラマン
コアジサシ三等陸曹
ツイッターコアジサシ(コンテスト)