視察メンバーは、現地で自然保護活動をしているUさん、「郷土の歴史と文化を広める会」の4名、瀬戸市文化課のSさん、瀬戸市文化振興財団のKさん、それに日本野鳥の会愛知県支部のN支部長、普及企画部部長のHさん、副支部長のN。
さらに今回は、メガソーラー建設の事業者である「株式会社 鈴鹿」のY様、「大成建設株式会社 名古屋支店」のT様、O様、「JFEプラントエンジ株式会社」のK様らに同行して頂き、工事の進捗情報を説明していただきました。
株式会社 鈴鹿のY様、大成建設株式会社 名古屋支店のT様、O様、「JFEプラントエンジ株式会社」のK様には、改めまして感謝申し上げます。
さて、今回の視察は我々日本野鳥の会愛知県支部としては前回2020年10月4日以来です。
前回の視察報告ブログはこちら 「メガソーラーの環境破壊 その4」
メガソーラー設置場所の地図。赤丸がUさんからの自然保護申し入れエリア。
(クリックで拡大)

Google Mapはこちらをクリック
(Google Map作成は日本野鳥の会愛知県支部のN支部長)
工事は着々と進んでいます。
下の写真は南エリアのソーラーパネル設置予定地。伐採は完了していました。


皆で、北エリアに移動。

このエリアの中には、文化庁選定「歴史の道百選」のひとつ 中馬街道(ちゅうまかいどう)が走っています。
信州飯田街道(中馬街道)


この中馬街道はかなりの部分がメガソーラー設置場所の中に含まれることになります。
中馬街道の入り口。ここから森の中に入っていきます。最初は自然保護申し入れエリア。
このエリアはソーラーパネル設置計画地のなかでも最も生態系が豊かなところです。

本当に美しい森です。キビタキ、ヤマガラ、メジロなどがきれいな声で鳴きかわしていました。


自然保護申し入れエリアで設置業者様から状況説明。

株式会社 鈴鹿様ほか業者の方々の自然保護への企業努力によって自然保護申し入れエリアへのソーラーパネル設置、トラック進入路の工事は回避される予定です。ただパネル面積が減ってしまうので、西側の緑地の一部にパネルを設置することも検討されているそうです。
さらに森の中を歩いていきます。キビタキ、オオルリ、センダイムシクイ、メボソムシクイらの夏鳥がまるで声の美しさを競うかのごとく鳴きかわしていました。

自然保護申し入れ区域を出て、伐採区域に出ました。
その光景に思わず声を失う。

伐採された自然林。


ロープの張られた道は、日本の街道100選の「中馬街道」。この道の両側5メートルずつは伐採されずに残りますがその外側の森は伐採されます。

伐採されたところはやがてソーラーパネルで埋め尽くされます。

ある程度、想像はしていましたが目の当たりにすると言葉を失います。
メガソーラーの建設とは、こういうことなのかと。。。


背後の自然林から聞こえてくるのは、キビタキ、オオルリの美しい歌声。
ごめんね、来年、もうこの森は無いんだよ。

今回、案内していただきました「株式会社 鈴鹿」のY様、「大成建設株式会社 名古屋支店」のT様、O様、「JFEプラントエンジ株式会社」のK様らの最大限の自然保護、景観保護努力には感嘆いたしました。
案内していただけましたことを改めて感謝申し上げます。
2012年、旧民主党政権時代に始まった「固定価格買取制度(FIT制度)」。
再生可能エネルギーで発電した電力を固定価格で買い取り、その分を国民が負担する制度です。
この制度に乗っかる形でメガソーラーがいっきに全国に広がった。
再エネ礼賛メディアはほとんど報道しない毎年値上がりする再エネ賦課金。
昨年度の2.98円/kwh から約13%値上がりして、今年5月から3.36円/kwh に。
(クリックで拡大)

この再エネ賦課金はあなたも毎月支払っています。
(電力会社の料金明細書を見ると小さな字で書いてあります。)
再生可能エネルギー(いわゆる自然エネルギー)は環境にやさしい、そんな考えが流布しています。
ソーラー発電、風力発電の一体どこが環境にやさしいのか。
ある意味、自然エネルギー ≒ 自然破壊エネルギー とも言えないこともない。
水力発電のダムしかり、風力発電の風車しかり、そしてメガソーラーしかり。
また、再生可能エネルギーはコストが高く、普及すればするほど電気代は確実に上がります。
しかし、再エネの普及(≒自然破壊)はさらに加速する可能性がある。
なぜなら、政府は2030年度の温室効果ガスの削減目標を2013年度比26%減から46%減に引き上げたからです。
令和3年4月22日首相会見
この会見のなかで首相は「再エネを更に進める」と言っています。
再エネ普及により電気代が上がって一番深刻な打撃を受けるのは、鉄鋼業界です。
鉄鋼業は産業の基盤となる最重要の産業で、鉄鋼業がつぶれるとほとんどの産業がダメージを受けます。
鉄鋼業界団体がこれ以上の再エネ普及に強い憂慮を示す、ほとんど悲鳴のような声明を発表しました。
「我が国のエネルギー政策に関する緊急共同要望」
kinkyuukyoudouyoubousyo2.pdf
自然保護はもとより、日本経済のためにも、もうこれ以上の再エネ普及はやめるべきです。
では、CO2の削減をいったいどうするのかという議論になりますが、CO2の排出量削減は再エネ普及に頼らずともできる方法があります。
それは、産業界の「老朽化設備の更新促進」です。
日本の産業界には、かなり老朽化した設備を使ってモノづくりしている工場がたくさんあります。
老朽化設備は電気を多く食う、すなわちCO2をたくさん排出します。
でも多くの中小企業は、老朽化設備を更新するお金の余裕がないのです。
国がもっとお金を投入して、中小企業の老朽化設備の更新を促進すれば、相当量のCO2排出量を削減することが可能となります。※1
そうすれば、投入したお金は国内で回る。国内の仕事が増え、景気が良くなり、国民の皆が幸せになる。
自然も破壊されずにCO2削減が可能です。
再エネ普及にお金を投入したところで、中国のソーラーパネルメーカーをはじめとする海外の再エネ業者と、ごく一部の国内業者が潤うだけです。そして自然は大きく破壊される。
日本は「老朽化設備の更新促進」でやれる範囲のCO2削減をすればよいのです。
日本はもう十分にCO2排出量削減の責任を果たしていることはデータが示しています。
地球規模でみた場合、最も排出量削減の努力をすべきは中国です。
下のグラフはいかに中国のCO2排出量がダントツかを示しています。
ぜひクリックして拡大してみて下さい。
(IEA 国際エネルギー機関のデータより、ブログ筆者作成)

日本のCO2削減努力が足りない、という声を国外のみならず、日本の野党やメディアから聞きます。
しかし、上のグラフが示す通り、日本はEUを上回る量のCO2削減率を達成しています。※2
エネルギー資源がほとんどない日本という国にあってはこれは脅威的なことです。※3
これは日本企業の省エネ努力の賜物なのです。
最後にもう一度、言います。
再エネのこれ以上の普及は自然保護、経済の両方にとって何の利益もありません。
再エネの普及に費やすお金を中小企業の「老朽化設備の更新促進」に回すべきです。
(文責 筆者)
※併せてお読み下さい。「メガソーラーの環境破壊」
メガソーラーの環境破壊 その1
メガソーラーの環境破壊 その2
メガソーラーの環境破壊 その3
メガソーラーの環境破壊 その4
※1 企業の省エネルギー活動の中で最もCO2排出量削減効果があるのは老朽化設備の更新です。経産省や環境省の様々な補助金制度はありますが、条件が厳しくハードルは高いです。もっと予算をつけてハードルを下げるべきです。ちなみに令和3年度と令和2年度補正予算分を合わせて洋上風力発電の開発には予算が110.3億円もついています。(経済産業省 令和3年度資源・エネルギー関係予算の概要)
※2 上のグラフが示すとおり、日本の2013年比のCO2削減率は、12.4% 、一方で、EUの2013年比のCO2削減率は、1.01%増加となっており、日本のCO2削減率はEUを上回ります。
※3 日本の2013年比で2018年12.4%のCO2削減率は、再エネ導入による効果だという主張する方がおられるかもしれません。残念ながら違います。むしろ原発の再稼働によるところが大きいです。原発も再エネ同様にCO2を排出しません。2018年の全発電量に占める風力発電+太陽光発電の割合は、わずか1.8%(!)。それに対して原発は7%です。(資源エネルギー庁の統計データより。)
日本野鳥の会愛知県支部
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