今回参考にする図鑑は、「National Geographic Field Guide to the Birds of North America, Second Edition」です。Second Edition、つまり第2版です。現在は2017年発行の第7版まで出ています。
旧版はAmazonで安価に入手可能なことが多いです。
(下の表紙は第3版)

この図鑑には北米大陸に生息する野鳥がほぼ全て載っています。識別だけでなく行動や習性が比較的細かく書かれているので参考になります。
英語野鳥図鑑を読むには3つのコツがあります。
1.省略に慣れる
2.部位と色の表現に慣れる
3.専門用語に慣れる
今回は、「アマサギ」を例にとって説明します。
(以下原文は、「National Geographic Field Guide to the Birds of North America, Second Edition」52ページから引用)
<原文@>
Small, stocky white heron with large, rounded head. Breeding adult is adorned by orange-buff plumes on crown, back, and foreneck.
<意訳>
大きく丸みを帯びた頭の、小型でずんぐりとした白いサギ。繁殖期の成鳥には頭頂、背中、および首の前部に飴色の飾り羽がある。
<単語>
small:小型の
stocky:ずんぐりとした
heron: サギ類
large:大きい
rounded:丸い、丸みを帯びた
head:頭、頭部
breeding:繁殖の、繁殖期の
adult:成鳥
adorn:飾る
orange-buff:飴色
plumes:飾り羽
crown:頭頂
back:背中
foreneck:首の前部
<説明>
最初の文で省略されている主語は、Cattle Egret(アマサギ)です。この主語を補うと原文は次のようになります。
The Cattle Egret is a small, stocky white heron with large, rounded head.
アマサギは、大きく丸みを帯びた頭の、小型でずんぐりとした白いサギである。
次の文。
Breeding adult is adorned by orange-buff plumes on crown, back, and foreneck.
adorn は飾る、という意味です。ここでは受け身なので、飾られる、という意味です。
直訳すると、「繁殖期の成鳥は、頭頂、背中、首の前部が飴色の飾り羽で飾られる」となります。
すなわち「繁殖期の成鳥には頭頂、背中、および首の前部に飴色の飾り羽がある。」
<原文A>
At height of breeding season, bill is red-orange, lores purplish, legs dusky-red. Nonbreeding adult has shorter, whitish plumes, yellow bill, yellowish legs.
<意訳>
繁殖期の最盛期ではクチバシは赤みを帯びた橙色で、目先は紫色っぽく、脚は暗い赤色。非繁殖期では飾り羽は短くて白っぽく、クチバシは黄色、脚は黄色っぽい。
<単語>
height:高さ、絶頂、最盛
breeding season:繁殖期
bill:クチバシ
red-orange:赤みを帯びた橙色
lore:目先
purplish:紫がかった
dusky-red:黒っぽい赤、暗い赤
non-breeding :非繁殖期
shorter:より短い
whitish:白っぽい
yellowish:黄色っぽい
leg:脚
<説明>
At height of breeding seasonは「繁殖期の最盛期」と訳しましたが要するに婚姻期のことです。
この文ではbe動詞が省略されています。be動詞を補うと、
At height of breeding season, bill is red-orange, lores are purplish, legs are dusky-red.
となります
次の文。
Non-breeding adult has shorter, whitish plumes, yellow bill, yellowish legs.
この文は省略がなく分かりやすいですね。
(直訳)非繁殖期の成鳥は短くて白い飾り羽と黄色いクチバシと黄色っぽい脚を持つ。
(分かりやすく訳すと⇒)非繁殖期の成鳥では、飾り羽は短くて白っぽく、クチバシは黄色、脚は黄色っぽい。
では最後に原文Bです。
<原文B>
Often seen among livestock in pastures and fields, feeding on insects stirred up by hooves or tractors; also picks insects off animals’ backs. In flight, resembles Snowy Egret but is smaller; bill and legs shorter; wingbeats faster.
<意訳>
牧草地や田畑では、よく家畜に混じっているのが見られ、蹄(ひづめ)やトラクターによってかきたてられた虫を採餌する。また動物の背中に付いた虫もついばむ。飛翔時はユキコサギに似ているが小さく、クチバシと脚は短く、羽ばたきは早い。
<単語>
often:よく
among:〜の間で、
livestock:家畜
pasture :牧草地
field:田畑
insect:虫
stir up:かきたてる
hooves:蹄(ひづめ)
pick off:つまみとる、ついばむ
in flight:飛翔時
resemble:〜に似る
Snowy Egret:ユキコサギ(北米に生息するコサギによく似たサギ)
wingbeats:羽ばたき
<説明>
Often seen among livestock in pastures and fields,
この文に主語を補うと次の通りです。
The Cattle Egret is often seen among livestock in pastures and fields,
アマサギは牧草地や田畑では、よく家畜に混じっているのが見られ、
among livestock は直訳すると「家畜の間で」なので「家畜に混じって」と訳すとわかりやすいです。
is seen はseeの受け身で、見られる、という意味です。
次の文。
feeding on insects stirred up by hooves or tractors;
この文をわかりやすくするために主語と関係代名詞を補うと次の文になります。
The Cattle Egret feeds on insects which are stirred up by hooves or tractors;
アマサギは、蹄(ひづめ)やトラクターによってかきたてられた虫を採餌する。
次の文。
In flight, resembles Snowy Egret but is smaller; bill and legs shorter; wingbeats faster.
飛翔時はユキコサギに似ているが小さく、クチバシと脚は短く、羽ばたきは早い。
この文も省略された主語とbe動詞を補うと次の文になります。
In flight, the Cattle Egret resembles Snowy Egret but the Cattle Egret is smaller; bill and legs are shorter; wingbeats are faster.
アマサギは飛翔時はユキコサギに似ているが小さく、クチバシと脚は短く、羽ばたきは早い。
このように省略されている単語に気づけば分かりやすい文になります。
今回は以上です。
近日中に第4回を投稿する予定です。どうぞお楽しみに。
愛知県支部会員に限っては、英語辞典の読み方の個人的なご質問もお受けいたします。
※orange-buff を当初「亜麻色」と訳していましたが支部役員のMさんからご指摘いただき、
「飴色」と訂正しました。日本語も難しいですね。(笑)。
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