2019年01月31日

英語の野鳥図鑑の読み方 3回目

英語の野鳥図鑑の読み方 3回目です。

今回参考にする図鑑は、「National Geographic Field Guide to the Birds of North America, Second Edition」です。Second Edition、つまり第2版です。現在は2017年発行の第7版まで出ています。
旧版はAmazonで安価に入手可能なことが多いです。

(下の表紙は第3版)
無題.png

この図鑑には北米大陸に生息する野鳥がほぼ全て載っています。識別だけでなく行動や習性が比較的細かく書かれているので参考になります。

英語野鳥図鑑を読むには3つのコツがあります。

1.省略に慣れる
2.部位と色の表現に慣れる
3.専門用語に慣れる

今回は、「アマサギ」を例にとって説明します。

(以下原文は、「National Geographic Field Guide to the Birds of North America, Second Edition」52ページから引用)

<原文@>
Small, stocky white heron with large, rounded head. Breeding adult is adorned by orange-buff plumes on crown, back, and foreneck.

<意訳>
大きく丸みを帯びた頭の、小型でずんぐりとした白いサギ。繁殖期の成鳥には頭頂、背中、および首の前部に飴色の飾り羽がある。

<単語>
small:小型の
stocky:ずんぐりとした
heron: サギ類
large:大きい
rounded:丸い、丸みを帯びた
head:頭、頭部
breeding:繁殖の、繁殖期の
adult:成鳥
adorn:飾る
orange-buff:飴色
plumes:飾り羽
crown:頭頂
back:背中
foreneck:首の前部

<説明>
最初の文で省略されている主語は、Cattle Egret(アマサギ)です。この主語を補うと原文は次のようになります。

The Cattle Egret is a small, stocky white heron with large, rounded head.
アマサギは、大きく丸みを帯びた頭の、小型でずんぐりとした白いサギである。

次の文。
Breeding adult is adorned by orange-buff plumes on crown, back, and foreneck.

adorn は飾る、という意味です。ここでは受け身なので、飾られる、という意味です。
直訳すると、「繁殖期の成鳥は、頭頂、背中、首の前部が飴色の飾り羽で飾られる」となります。
すなわち「繁殖期の成鳥には頭頂、背中、および首の前部に飴色の飾り羽がある。」


<原文A>
At height of breeding season, bill is red-orange, lores purplish, legs dusky-red. Nonbreeding adult has shorter, whitish plumes, yellow bill, yellowish legs.

<意訳>
繁殖期の最盛期ではクチバシは赤みを帯びた橙色で、目先は紫色っぽく、脚は暗い赤色。非繁殖期では飾り羽は短くて白っぽく、クチバシは黄色、脚は黄色っぽい。

<単語>
height:高さ、絶頂、最盛
breeding season:繁殖期
bill:クチバシ
red-orange:赤みを帯びた橙色
lore:目先
purplish:紫がかった
dusky-red:黒っぽい赤、暗い赤
non-breeding :非繁殖期
shorter:より短い
whitish:白っぽい
yellowish:黄色っぽい
leg:脚

<説明>
At height of breeding seasonは「繁殖期の最盛期」と訳しましたが要するに婚姻期のことです。
この文ではbe動詞が省略されています。be動詞を補うと、
At height of breeding season, bill is red-orange, lores are purplish, legs are dusky-red.
となります

次の文。
Non-breeding adult has shorter, whitish plumes, yellow bill, yellowish legs.
この文は省略がなく分かりやすいですね。
(直訳)非繁殖期の成鳥は短くて白い飾り羽と黄色いクチバシと黄色っぽい脚を持つ。
(分かりやすく訳すと⇒)非繁殖期の成鳥では、飾り羽は短くて白っぽく、クチバシは黄色、脚は黄色っぽい。



では最後に原文Bです。
<原文B>
Often seen among livestock in pastures and fields, feeding on insects stirred up by hooves or tractors; also picks insects off animals’ backs. In flight, resembles Snowy Egret but is smaller; bill and legs shorter; wingbeats faster.

<意訳>
牧草地や田畑では、よく家畜に混じっているのが見られ、蹄(ひづめ)やトラクターによってかきたてられた虫を採餌する。また動物の背中に付いた虫もついばむ。飛翔時はユキコサギに似ているが小さく、クチバシと脚は短く、羽ばたきは早い。

<単語>
often:よく
among:〜の間で、
livestock:家畜
pasture :牧草地
field:田畑
insect:虫
stir up:かきたてる
hooves:蹄(ひづめ)
pick off:つまみとる、ついばむ
in flight:飛翔時
resemble:〜に似る
Snowy Egret:ユキコサギ(北米に生息するコサギによく似たサギ)
wingbeats:羽ばたき

<説明>
Often seen among livestock in pastures and fields,
この文に主語を補うと次の通りです。
The Cattle Egret is often seen among livestock in pastures and fields,
アマサギは牧草地や田畑では、よく家畜に混じっているのが見られ、

among livestock は直訳すると「家畜の間で」なので「家畜に混じって」と訳すとわかりやすいです。
is seen はseeの受け身で、見られる、という意味です。

次の文。
feeding on insects stirred up by hooves or tractors;
この文をわかりやすくするために主語と関係代名詞を補うと次の文になります。
The Cattle Egret feeds on insects which are stirred up by hooves or tractors;
アマサギは、蹄(ひづめ)やトラクターによってかきたてられた虫を採餌する。

次の文。
In flight, resembles Snowy Egret but is smaller; bill and legs shorter; wingbeats faster.
飛翔時はユキコサギに似ているが小さく、クチバシと脚は短く、羽ばたきは早い。

この文も省略された主語とbe動詞を補うと次の文になります。
In flight, the Cattle Egret resembles Snowy Egret but the Cattle Egret is smaller; bill and legs are shorter; wingbeats are faster.
アマサギは飛翔時はユキコサギに似ているが小さく、クチバシと脚は短く、羽ばたきは早い。

このように省略されている単語に気づけば分かりやすい文になります。

今回は以上です。

近日中に第4回を投稿する予定です。どうぞお楽しみに。
愛知県支部会員に限っては、英語辞典の読み方の個人的なご質問もお受けいたします。

※orange-buff を当初「亜麻色」と訳していましたが支部役員のMさんからご指摘いただき、
「飴色」と訂正しました。日本語も難しいですね。(笑)。

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posted by Ted at 10:36| Comment(0) | 英語の鳥図鑑

2019年01月04日

英語の野鳥図鑑の読み方 2回目

英語の野鳥図鑑の読み方 第2回目です。

参考にする野鳥図鑑は第1回目の「COLLINS BIRD GUIDE」とは異なり、「BIRDS OF EAST ASIA (Mark Brazil著)」を使用します。日本、中国東部、台湾、朝鮮半島、そして極東ロシアを含む範囲で見られる野鳥を収録したすばらしいイラスト図鑑です。日本のAmazon.com で購入可能です。

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英語野鳥図鑑を読むには3つのコツがあります。

1.省略に慣れる
2.部位と色の表現に慣れる
3.専門用語に慣れる

今回は
1.省略に慣れる
2.部位と色の表現に慣れる
について、マガモの特徴を記述した文から抜粋して解説します。

<原文>
ID Large, stocky, with large head and bill and short tail. Breeding ♂ has glossy dark bottle green head, separated from purplish-chestnut chest by narrow white collar. Body pale grey, 'stern' black, tail white with upcurled black central uppertail-coverts; white-bordered blue speculum visible on closed wing.

(BIRDS OF EAST ASIA 54ページから引用)

<意訳>
特徴 大型でずんぐりとしていて頭とクチバシは大きく尾は短い。繁殖羽のオス頭部は光沢のある濃緑色で、紫がかった栗色の胸部とは白い境界部で分かれている。胴体はうすい灰色、尻は黒色、尾羽は白色で黒い上尾筒の中央が上向きに巻いている。翼を閉じたとき白い端縁部がある青色の翼鏡が目立つ。

<単語>
ID:Identification の略。「識別」の意味。日本の図鑑では「特徴」の見出しが一般的。
Large:大きい
stocky:ずんぐりとした
large head:大きな頭部
bill:クチバシ
short tail:短い尾羽
breeding:繁殖、繁殖期の、
glossy:光沢のある
dark bottle green:濃緑色
separated from:〜と分けられた、〜と隔てられた
purplish-chestnut:紫がかった栗色
chest:胸
narrow white collar:幅の狭い白色帯、(collar は色ではなく襟のカラーのこと)
pale grey:淡い灰色、薄い灰色
stern:尻
upcurled:上方向に巻いた、上向きにカールした
uppertail-coverts:上尾筒
white-bordered:白い境界線の
speculum:翼鏡(カモ類の次列風切にある目立つ色をした部位)
visible:目立つ
closed wing:閉じた翼

<解説>
まず最初の文から。
Large, stocky, with large head and bill and short tail.

上の文は主語 The Mallard(マガモ)が省略されています。
主語を補うとこうなります。

The Mallard is large, stocky, with large head and bill and short tail.
マガモは、大型でずんぐりとしていて頭とクチバシは大きく尾は短い。

このように主語を補うとわかりやすくなります。
体形を表す「stocky ずんぐりとした」は覚えておきましょう。
「bill クチバシ」、「tail 尾羽」は野鳥図鑑では必修単語です。

次の文。
Breeding ♂ has glossy dark bottle green head, separated from purplish-chestnut chest by narrow white collar.
繁殖羽のオス頭部は光沢のある濃緑色で、紫がかった栗色の胸部とは白い襟で分かれている。

ここでは主語は「Breeding ♂ 繁殖羽のオス」です。breedingは動詞形だと「breed 繁殖する」となります。「glossy 光沢のある、艶のある」も頻出単語です。
「dark bottle green 濃緑色」、「purplish-chestnut 紫がかった栗色」などはいずれも色を表す表現です。
「separated from 〜とは別れている」 は前に「which is 」を補って、
Breeding ♂ has glossy dark bottle green head, which is separated from purplish-chestnut chest by narrow white collar.
とすれば意味が明確になります。

次の文。
Body pale grey, 'stern' black, tail white

ここでは「Body」の次と、「stern」 の次と、「tail」の次に be動詞の「is」が省略されています。is を補うとこうなります。

Body is pale grey, 'stern'is black, tail is white
胴体はうすい灰色、尻は黒色、尾羽は白色。
何だかよくわからなかった文が「is」を補っただけで中学1年レベルの英文になりましたね。
上の文にはさらに次の文が続きます。

with upcurled black central uppertail-coverts;
黒い上尾筒の中央が上向きに巻いている。

前置詞「with」は、ここでは、「〜を伴って」くらいの意味です。「upcurled 上向きにカールした」、「central 中央」、「uppertail-coverts 上尾筒」を続けて直訳すると、「上向きにカールした黒い上尾筒中央部分を伴って」の意味になります。
これを上の「胴体はうすい灰色、尻は黒色、尾羽は白色。」とくっつけて訳すと、
「体はうすい灰色、尻は黒色、尾羽は白色で黒い上尾筒の中央が上向きに巻いている。」くらいの意味になります。

最後の文。
white-bordered blue speculum visible on closed wing.

この文では、speculumの後に「is」を補うとわかりやすいです。
white-bordered blue speculum is visible on closed wing.
翼を閉じたとき白い端縁部がある青色の翼鏡が目立つ。

「white-bordered 白い縁端のある、白い境界の、」という意味です。「speculum 翼鏡」は淡水カモ類の次列風切にあるメタリック調の光沢のある目立つ部分です。
「visible 目立つ」「closed wing 閉じた翼(の状態)」の意味です。

まとめ:
今回の文章でも主語、be動詞の省略がたくさんありました。この形は慣れないと戸惑いますが、いったん省略された主語やbe動詞を補うことができれば、文法的には現在形のみの中学生レベルです。
まずは手持ちの英語図鑑のマガモのページを熟読して、省略された主語とbe動詞を補って読んでみましょう。慣れると意外と簡単です。

今回はここまでです。
次回をどうぞお楽しみに。

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参考までに前回投稿の第1回目ブログ(2018-3-31)を添付しておきます。
復習してみて下さい。

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野鳥の英語図鑑の読み方 第1回目

野鳥英語図鑑を読むには3つのコツがあります。

1.省略に慣れる
2.部位と色の表現に慣れる
3.専門用語に慣れる

今回は「1.省略に慣れる」について

<原文>
"DABBLING DUCK
Surface-feeding small to large-sized ducks of lakes, rivers and shallow water, often upending."

(COLLINS BIRD GUIDE 2nd EDITION 24ページから引用)

<意訳>
水面採餌ガモ
湖、河川、浅水域の水面で採餌する小型から大型のカモ類で、しばしば逆立ち採餌を行う。

<単語>
dabbling duck: 水面採餌ガモ(マガモ、コガモ、オナガガモなど淡水ガモ類のこと)
surface-feeding:水面採餌
small to large-sized:小型から大型の
lake:湖
river:川、河川
shallow water:浅瀬、浅水域
often:しばしば、良く、しょっちゅう、
upending:逆立ち(逆立ち採餌と意訳)

<解説>
非常に簡潔な文です。主語と動詞を補い、文の最後の" , often upending." のコンマの代わりにピリオドで区切って動詞 (feed 採餌する)を補うと次の文になります。

Dabbling ducks are surface-feeding small to large-sized ducks of lakes, rivers and shallow water.
水面採餌ガモは湖、河川、浅水域の水面で採餌する小型から大型のカモ類です。

Dabbling ducks often feed by upending.
水面採餌ガモは、しばしば逆立ち採餌を行う。

このように省略されている主語や動詞を補い、文章を短く区切ると分かりやすい文になります。

野鳥図鑑に出てくる文の多くはこのように主語、動詞が省略されています。
主語と動詞を補うことで、ほとんどの文は中学生レベルの単純な現在形の文になります。

Very easy, isn't it? 


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posted by Ted at 11:29| Comment(0) | 英語の鳥図鑑

2018年03月31日

英語の野鳥図鑑の読み方1回目

今まで支部会員の皆様から、英語の野鳥図鑑が読めたらいいな、という声をたくさん聞きました。
そこで今回から数回に分けて英語の野鳥図鑑を読むコツをお伝えします。(中学生レベル)

参考にする野鳥図鑑は、「COLLINS BIRD GUIDE 2nd EDITION (コリンズ バードガイド 第2版)」。
イラストが非常に精緻で、採餌中の姿勢や群れでいるときの様子まで描かれているすばらしい図鑑です。

collins.jpg

「COLLINS BIRD GUIDE」を読むには3つのコツがあります。

1.省略に慣れる
2.部位と色の表現に慣れる
3.専門用語に慣れる

今回は「1.省略に慣れる」について

<原文>
"DABBLING DUCK
Surface-feeding small to large-sized ducks of lakes, rivers and shallow water, often upending."

(COLLINS BIRD GUIDE 2nd EDITION 24ページから引用)

<意訳>
水面採餌ガモ
湖、河川、浅水域の水面で採餌する小型から大型のカモ類で、しばしば逆立ち採餌を行う。

<単語>
dabbling duck: 水面採餌ガモ(マガモ、コガモ、オナガガモなど淡水ガモ類のこと)
surface-feeding:水面採餌
small to large-sized:小型から大型の
lake:湖
river:川、河川
shallow water:浅瀬、浅水域
often:しばしば、良く、しょっちゅう、
upending:逆立ち(逆立ち採餌と意訳)

<解説>
非常に簡潔な文です。主語と動詞を補い、文の最後の" , often upending." のコンマの代わりにピリオドで区切って動詞 (feed 採餌する)を補うと次の文になります。

Dabbling ducks are surface-feeding small to large-sized ducks of lakes, rivers and shallow water.
水面採餌ガモは湖、河川、浅水域の水面で採餌する小型から大型のカモ類です。

Dabbling ducks often feed by upending.
水面採餌ガモは、しばしば逆立ち採餌を行う。

このように省略されている主語や動詞を補い、文章を短く区切ると分かりやすい文になります。

野鳥図鑑に出てくる文の多くはこのように主語、動詞が省略されています。
主語と動詞を補うことで、ほとんどの文は中学生レベルの単純な現在形の文になります。

Very easy, isn't it? 


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